初の一般販売製品「RGB_Light」出荷と、Shiftall2年間の振り返り

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RGB_Light

Shiftall代表の岩佐です。昨日、Shiftallとして製造した初の一般向け量産製品「RGB_Light」が出荷を開始しました。思えば長い道のりだったなということで、振り返りつつBlogを書きたいと思います。

本製品の詳細についての詳細はRGB_Lightのプレスリリースにてご覧ください。社外のデザイナーである河野未彩さんと、未来をつくる実験区 100BANCH、そしてShiftallが手を組んで共に作るというこれまでにない難しい取り組み。未彩さんは個人、100BANCHは3社合同のプロジェクト、Shiftallは法人と組織形態からして三者三様。そこに、正確な色を表現することが照明器具である…というこれまでの照明器具の常識を打ち破るアプローチのぶっとんだ(まさにゼロ→イチの)商品企画を、何とかここまで持ってくることができました。施設・店舗での利用がメインになろうということで、一般のご家庭向けの価格帯ではありませんが、お仕事関係などでご興味のある方はぜひRGB_LightのWebサイトをご覧ください。

Shiftallこれまでの軌跡

2008年1月にハードウェア・スタートアップCerevoを起業して、節目となる10年目にShiftallとして分離独立。そこからちょうど2年が終わろうとしています。企画から開発を経由して市場投入までの速度を格段に高める部隊として設立したものの、大企業グループ内にジョインしたことによる様々なハードルと格闘し、1年目は体制整備と周辺調整に追われる日々でした。

「様々なハードル」は開発や企画のみならず、経理はもちろん人事から総務まであらゆるところに立っていたように思います。初年度には大量の開発メンバーを投入していた製品を最終的に発売しないとの判断とせざるをえなかったこともありました。これらをすべて乗り越えるには当然さまざまな痛みが伴いました。そうやって格闘するあいだに一部メンバーの離脱もあり、本当にこの方向で我々は正しいのか、向かってゆく先に未来はあるのかと考える日々もありました。ですが、新たに加入してくれた新メンバー、ならびにこの状況を一緒に今日まで2年間伴走しつづけてくれたメンバーたちによって、ついにこの日を迎えることができました。メンバーのみなさん、本当にありがとう。

大企業は80→81はめっちゃ得意で、Shiftallなんかよりずっと早いし効率的。でも、ゼロ→イチとなった瞬間に扱う部署を決める(考える)ところからすでにゆっくり。座組を考えたりしている時間も含めると途方も無い時間がかかっていたのが(日本の)大企業。そこでShiftallだと設立し、これまでになかったような製品ジャンルをゼロから生み出す速度(ゼロ→イチ)を劇的に上げるのだ、とブチあげたものの2年も製品が出ないという状況は中からも、外からもいったいどう見えているのかはわかりきっていました。

いまだからこそ言えますが、実質的には1年目を体制構築と先に述べた未知のハードルたちとの格闘で費やしました。ですので、このRGB_Lightプロジェクトを100BANCHのフィクサー、則武さんと「製品化、やれるんちゃう?」ぐらいのノリでスタートしたのはちょうど1年前なのです。そう思うと、外からどう見られていたかはさておき、企画から量産出荷まで1年以内でゼロ→イチIoT製品※をやりきることができたのは、私の中では及第点かなと思っています。なぜなら、この世界的な新型コロナウイルスによる大波乱のなかでこのスピードを維持できたのですから。

新型コロナウイルスは今日でこそ世界すべての国が大きな影響を受けていますが、中国が影響を受けはじめたのは2020年1月からです。開発・製造期間の1/4をコロナ・ショックのなかで戦い抜くことになってしまうとは、想像だにしていませんでした。部品の大半を海外調達としている本製品の開発・製造においてはまさに最後の最後、製造一歩手前でこの未曾有の大トラブルとなってしまいました。製造に関わる方ならご想像ください、設計はもちろんほぼ終了、DVT品での品質系試験が概ね終わって、量産部材の手配も9割がた終わって、工場への組立指示書もだいたい書き上がって、ぐらいのタイミングで事件が起こる大変さを。ラスボスを倒したらさらに強大な本当のボスがいましたよという、ハリウッド映画の続編シリーズのような展開です。

今回不幸中の幸いだったのは、部品の大半は海外製造海外調達なのですが、最終組立を日本の工場のお力添えをいただき実施できたことです。これは本当にたまたまなのですが、国内工場も一度は使ってみようじゃないかということで、当初から国内での最終組立を想定していたため、世界的に渡航が大きく制限されるいまの状況下において、何とか出荷に漕ぎ着けることができたのです。

2020年度に向けて

さて、Shiftallの体制の話にもどりますが、エンジンがかかった、というのは現状の我々を表現するに正しい表現だなと感じています。趣味で車やバイクをいじる人には自明ですが、化石燃料エンジンはエンジンをかけて、安定して回すことがとにかく大変です。※2 逆に回ってしまえばセルモーターは要らないし、バッテリーもいらないわけです。※3

いまShiftallはエンジンがかかった状態、つまり大企業内でのゼロ→イチ新ジャンル製品をさっと製品にして、市場の声を聞くというノウハウ・体制・協力者の皆様がついに揃った状態となりました。

4月1日からは新メンバーも増え、2020年には現在走っている複数の製品が世に出ることになろうかと思います。それがCES 2020で発表した製品たちになるのか、はたまたまったく違う新しい製品が出てくるのか。RGB_Lightという大きな大きなイナーシャによって、エンジンが掛かったShiftallの2020にご期待ください。4月からは組み込みソフト開発メンバー、アプリ・フロントエンド開発メンバーの応募も開始いたします。一緒にはたらくことにご興味のある方は、ぜひとも応募フォームを開いてみてください。

最後になりましたが、クラウドファンディングを達成してからお届けが遅れているWEAR SPACEをお待ちの皆様のことを考えると、喜んでばかりいる状況ではありません。こちらの製品ももさほど遠くない時期にお届けできるよう、開発メンバー一同必死の開発を進めておりますので、何卒ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。


※まぁBluetooth接続+アプリがIoTかというのはさておき

※2 本物のエンジンはアイドリングの制御が大変なわけですが、ここでキャブのアイドルスクリューやISCVの話をするのはやめましょうw

※3 そりゃ車だとアイドル時のファン駆動とか色々あるからオルタだけじゃだめだろという話はあるんですが、あくまでエンジン単体での話です

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